日本銀行は19日、過去25年間の金融緩和策を検証する「多角的レビュー」を公表した。2013年に始め、約11年にわたった大規模な金融緩和については、「導入当初に想定していたほどの効果は発揮しなかった」としつつ、「全体としてみれば、プラスの影響があった」と総括した。

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 レビューは23年4月、植田和男総裁が就任して最初の金融政策決定会合で実施を決めた。1990年代初頭のバブル崩壊以来、日銀は物価が下がり続けるデフレに対処するため、99年に政策金利をゼロ%程度に押し下げる「ゼロ金利政策」を世界で初めて導入。金利の引き下げ余地がなくなったことで、その後は国債などを買い入れて市場にお金を流す量的緩和など「非伝統的金融政策」と呼ばれる手段を相次いで採り入れてきた。

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過去25年間の日本銀行の金融政策と主な出来事

 特に、黒田東彦(はるひこ)・前総裁が始めた大規模緩和は物価上昇率2%を目指し、国債買い入れ額を大幅に増やし、上場投資信託(ETF)などの資産買い入れも強めた。16年には、マイナス金利政策、長期金利を低く抑え込むイールドカーブ・コントロール(YCC)を導入した。

 日銀はこうした金融政策の効果と副作用、過去25年間の経済・物価の変化を分析した。

 レビューでは、大量の国債買…

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